
中東ってアラビア語だけの世界だと思っていませんか?実はそれ、半分正解で半分間違い。中東には、宗教や民族の違いに根ざした多様な言語が存在しているんです。結論からいってしまえば、中東には「アラビア語・ペルシャ語・トルコ語」の三大言語を中心に、多言語が共存しているのが特徴なんです。この記事では、まずその三大言語をしっかり押さえたうえで、その他の言語も一覧で紹介していきます。
まずは中東の大部分で使われている三つの主流言語から紹介します。これを押さえておけば、ざっくりと中東の言語地図が頭に入るようになりますよ。
サウジアラビア、イラク、シリア、ヨルダン、レバノン、UAE、カタール、イエメンなどで話されており、アラブ人の共通語です。宗教的にも、クルアーン(イスラム聖典)がこの言語で書かれているため、イスラム世界の共通語としての役割も持っています。
イラン、アフガニスタン、タジキスタンなどで使われるインド・ヨーロッパ語族の言語。アラビア語と文字は似ていますが、まったく別系統。文学や詩の伝統が強く、ペルシャ文化の誇りでもあります。
トルコ共和国の公用語であり、20世紀初頭にアラビア文字からラテン文字に切り替えられたことで独自の進化を遂げました。アルタイ語族に属し、他の二つとはまったく異なる文法体系を持ちます。
三大言語だけでも広範囲をカバーできますが、実は中東には少数派ながらも多くの民族言語や宗教的言語が生き残っていて、歴史的・文化的にとても大切な役割を果たしています。
トルコ東部、イラク北部、イラン西部、シリア北部に住むクルド人の言語。国家を持たない最大の民族とも言われ、独立運動の文脈でも注目されます。
イスラエルの公用語で、古代ユダヤ語をもとに20世紀に復活した珍しい例です。宗教言語(ユダヤ教)としてだけでなく、現代国家の生活言語として定着しています。
キリスト教系のアッシリア人やシリア正教徒などが使う言語で、古代アラム語の子孫とも言われます。中東の少数派キリスト教徒の宗教儀式でも使用されています。
アルメニア人コミュニティがシリアやレバノンなどに点在し、教会や家庭内で使用。文字も独自で、アルメニア教会とセットで使われることが多いです。
かつての植民地支配の名残として、英語(湾岸諸国・イスラエル)やフランス語(レバノン・シリア)も高等教育や外交では使われています。特にレバノンではアラビア語とフランス語のバイリンガルが当たり前だったりします。
中東では、言語は単なるコミュニケーション手段を超えて、民族・宗教・政治的アイデンティティそのものに直結しているんです。
クルド語やアッシリア語などは、国によっては弾圧や教育からの排除に直面してきました。それでも言葉を守ろうとする動きは、文化的な抵抗の一形態として続いています。
中東では、言語の選択そのものが政治的立場や宗教的帰属を意味することもあります。だからこそ、言語をめぐる摩擦がしばしば国際問題の引き金になることもあるんです。
中東の言語は、とにかく奥が深い!アラビア語が主流ではあるけれど、そこにペルシャ語・トルコ語・クルド語・ヘブライ語などが重なりあっていて、まさに文化のモザイクです。言葉を知ることは、その民族や地域の背景を理解する大きなカギになるんですね。