
東アジアという言葉、よく使いますが、実は時代や文脈によってさまざまな別名で呼ばれてきたんです。どういうことかというと、東アジアはその位置づけや見方が変わるたびに、呼び名も変わってきた地域なんですね。今回はそんな「東アジアの呼び方」について、歴史的・文化的な背景を交えて見ていきましょう。
まずは基本となる「東アジア」という言葉から確認しておきましょう。現代では比較的定着していますが、実はかなり文脈に左右される呼び方なんです。
日本、中国、朝鮮半島(韓国・北朝鮮)、台湾、モンゴルあたりを含む地域が一般的な東アジアの範囲です。国際機関によってはもう少し広くとることもありますが、基本はこのライン。
漢字文化圏、儒教的価値観、仏教の影響など、文化的な共通点をもとにこの地域を「東アジア」と一括りにするケースも多いです。
「極東(Far East)」という言い方、聞いたことありますか?これはヨーロッパ中心主義の時代に生まれた、少し古めかしい呼び名です。
ヨーロッパから見て「極端に東にある地域」という意味で「極東」と名付けられました。19世紀〜20世紀の国際政治や軍事文脈でよく使われていました。
アメリカやソ連がアジアを戦略的に区分する中で、「極東」という呼称は軍事・外交文脈で多用されました。今ではちょっと硬くて歴史的な響きのある表現です。
「東洋」は美術や文学などでよく出てくる言葉ですね。でもこれもまた、西洋との対比から生まれた言葉なんです。
西洋にとっての「神秘的で異質な東」というイメージから東洋(Orient)という言葉が広まりました。中国や日本だけでなく、インドや中東まで含む広い意味で使われることもありました。
明治時代の日本では、自らを「東洋の一員」と意識するナショナリズムが高まり、「東洋の文明を代表する国」として西洋に対抗しようとする言説も見られました。
「東アジア」よりも範囲を狭めた言い方として「北東アジア」という表現もあります。これは地政学的に注目される言葉です。
北東アジアには日本、中国東北部、朝鮮半島、モンゴル、ロシア極東部などが含まれます。東南アジアや台湾などは含まれないことが多いです。
北朝鮮問題、日中関係、ロシアの極東開発など、地政学的に注目される課題を話すときに「北東アジア」という呼び方がよく使われます。
政治や地理とはまた違った視点で、この地域を「文化圏」として定義することもあります。
中国から始まり、朝鮮半島や日本に伝わった漢字と儒教。この2つの文化的要素が広まった地域を「漢字文化圏」「儒教圏」と呼ぶことがあります。
儒教的な家族観や礼節の重視など、精神文化の共通点をもとに、この地域を「東アジア的」と表現することも多いですね。
東アジアという言葉は便利だけど、その裏には時代や立場によって変化してきた、いろんな別名や呼び方があるんです。極東、東洋、北東アジア、漢字文化圏…それぞれの言葉には背景があって、その呼び方から見えてくる価値観や歴史があるんですよね。言葉の使い方ひとつで、世界の見え方がちょっと変わるかもしれませんよ。