
アジアって、国の数も人の数も圧倒的に多くて、しかも文化も歴史もバラバラ。じゃあ「アジアってどんな地域なの?」と聞かれたとき、うまく説明できる人は案外少ないかもしれません。結論からいってしまえば、アジアは世界最大級の面積と人口を誇り、多様な自然環境と文明の発祥地を内包する超多層的な地域なんです。今回はその特徴と成り立ちを、地理・歴史・文化の視点から整理してみましょう。
アジアを南、東、西、南東の地域に分けた地図
出典:Bill william compton / CC BY-SA 3.0より
まずは「アジアってどこからどこまで?」という話から。ヨーロッパと違って、アジアの境界は意外とはっきりしてないんですよね。でも、その広さと地形のバリエーションは、まさに世界レベルです。
アジアは地球上の陸地の約30%を占め、人口は全世界の6割以上を抱えています。東西に広く、時差も文化も全然違う地域が詰め込まれているのがアジアなんです。
ヒマラヤ山脈、アラビア砂漠、長江やガンジス川、ジャングル、南国の島々まで、アジアは自然環境のカタログみたいな場所。だからこそ、人々の暮らしもまちまちなんですね。
アジアは、ただ広いだけじゃなくて、人類の文明がいくつも誕生した場所でもあります。川の流域で農耕が始まり、やがて王朝や宗教が生まれていく流れが、地域ごとに繰り返されてきました。
メソポタミア(西アジア)、インダス(南アジア)、黄河(東アジア)の各文明がアジアで誕生。農耕、都市、文字、宗教といった人類の基本がここから広まっていきました。
シルクロードの陸路(赤)と海路(青)を示す地図
出典:NASA/Goddard Space Flight Center / パブリックドメインより
アジア内の文明同士は、交易ルート(陸と海)を通じて交流し合っていました。シルクロードでは絹や香辛料が行き交い、宗教や技術も伝わる大きなネットワークができていたんです。
アジアの特徴のひとつが、宗教・言語・文化がとにかく多いということ。それぞれの地域で、独自の信仰や暮らしが発達してきたんです。
仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、儒教、道教など、主要な宗教の多くがアジアにルーツを持っています。国によっては複数の宗教が共存していることも多いです。
インド系、漢字系、アラビア系、アルタイ系、マレー系など、話されている言語の種類も非常に多く、文字の体系も国によってバラバラ。多言語社会が当たり前の地域なんです。
近代以降、アジアは欧米列強の支配や植民地化を経て、21世紀には経済・政治の舞台で再び注目される存在になってきました。今のアジアは、かつての“遅れた地域”ではありません。
1930年、「塩の行進」を先導するマハトマ・ガンディー
出典:Yann / Public Domainより
インド、インドネシア、ベトナムなどは20世紀半ばに次々と独立。その多くが欧米列強による植民地支配から脱して、自らの国づくりを始めました。
ちなみに上の画像は、インドの独立運動における重要な出来事である「塩の行進」の一場面です。1930年にマハトマ・ガンディーが主導した、イギリスの植民地支配に対する非暴力・不服従運動の象徴的な出来事。インドの独立運動における重要な転換点となりました。
当時、イギリスはインドにおける塩の生産と販売を独占し、塩に重税を課していました。しかし塩は日常生活に不可欠なものであり、特に貧困層にとってこの税は大きな負担。そこでガンディーは、この不当な塩税に抗議するため、非暴力の手段である「サティヤーグラハ(真理の把持)」を実践し、国民の団結を促したのです。
中国、日本、韓国、ASEAN諸国の経済発展により、アジアは世界経済の中心のひとつに。グローバル企業やサプライチェーンもアジア抜きには語れない時代です。
アジアは広い、そして深い。地理も文化も歴史も全部ごちゃまぜになってるようで、ちゃんと筋が通ってるのが面白いところです。国や地域でぜんぜん違うけれど、それがアジアの魅力でもあるんですよね。ひとつの枠に収まりきらない、そんなスケールの大きさがアジアの本質なのかもしれません。